司法書士 簡裁代理権認定考査対策|勉強時間・勉強方法について

2023年(令和5年)9月に実施された司法書士簡裁代理権の認定考査(正式名称:簡裁訴訟代理等能力認定考査)に合格しました。

「実際、どのくらい勉強すればいいの?」という情報も少ないこの試験。実際の経験を共有したいと思います。

2023年(令和5年)は「認定率77.2%」ということで、例年より認定率が高めでしたが、認定考査の母集団はあの司法書士試験に合格した人たちであり、認定率が70%台であっても決して「簡単な試験」ではない、のです。猛者の中でこの認定率、勉強しないと落ちる試験ということです。

また、(私は大昔の本試験合格者なので違いましたが)この認定考査、司法書士試験同期合格のほとんど全員が受験し、その中で合否が分かれてしまうという無慈悲なシステムです。

ただ、勉強量をこなせば合格できる試験です。合格を勝ち取るために誰でもできることが「人がやっていないうちからやっておく」ことです。月並みですが。

※私自身手を付けるのが遅かったのであまり説得力がないのですが・・・。結局スタートの遅れを、特別研修後の7月8月の2か月の勉強量でカバーして、9月の試験に臨むこととなりました。結果的にそれでも何とかなったのですが、「時間だけはあった」ことが幸いしました。

参考)なお、受験勉強中の私の状況は下記のとおりでした。

 無職:勉強時間がとれる・特別研修もそれなりにこなせる

 合格後の研修もはるか昔に済ませている

 本試験受験が昔すぎるのでいろいろ忘れている

 様々な要因で勘と体力と記憶力が弱っている 笑

目次

勉強時間

令和5年度(2023年度)の認定考査は2023年9月10日でした。

私が本格的に勉強を始めたのは特別研修(2023年5月末から7月初めまで)の後、7月半ばからです。つまり勉強期間は約2か月。

7月中はだいたい3時間/日(土日は概ね休み)、8月は4~7時間/日(土日も基本勉強する)ぐらい机に向かっていました。

短期間に知識を無理やり詰め込んだ感がありましたので、開始時期としては少々遅かったと思います。

特に仕事をしている方は、特別研修終了後、認定考査までに上記の勉強時間をひねり出すのは至難の業でしょう。

本試験合格の年の冬ぐらいから試験対策を初めておけば安心できると思います。翌年の特別研修もある程度知識を持った状態で迎えられる点でもおすすめです。

遅くとも、特別研修の連絡類が届きだす春頃から試験対策を始めておけばよかった・・・と後から思いました。

※ちなみに特別研修中(2023年5月末から7月初め)は課題が多く、認定考査の勉強を並行して行うのは難しかったです。(私は勉強を始めてもいませんでしたが・・・)その意味でも早めに認定考査対策を開始したほうがよいでしょう。

使用教材・勉強方法

伊藤塾 認定考査対策講座

概要・感想

有料講座ですが、本当に受講してよかったです。

①「道」シリーズ3冊(後述)をベースにした解説講義

②過去4年分の過去問と解説:改めて解いてみると結構むずかしく、良い意味で危機感を感じる代物

③模擬演習:オリジナル問題。結構難しくてやや不安になったが、モチベーションアップにはなった。

※この他に特別研修対策編もあり(私は受講していません)

あわせて読みたい

人により感じ方は違うと思いますが、私は合格のために払う金額としては妥当と感じました。

坂本講師の説明も歯切れがよくわかりやすいです。

なかなかの分量の書籍「道」シリーズ3冊(後述)をテキストとして使用していますが、その中でもポイントを絞って解説してくれるので学習のメリハリがつけやすかったです。

司法書士試験とはベクトルが違うこの認定考査、初めて聞く内容やワードが多すぎるのですが、要点をまとめてくれている講座を受講したことで学習のハードルが少し下がったように思います。

伊藤塾とLECの同種の講座で迷いましたが、下記の理由から伊藤塾の講座に決めました。

1コマ約30分であり、長尺でないため細切れ時間でも聞くことができる

・定評がある伊藤塾の書籍(下記の「道」シリーズ)をテキストとして使用している

なお、LECの講座はこちらです ↓

勉強方法・使用頻度

まず特別研修の初日の後、あまりにも研修のポイントがよくわからず、次の研修日までに「入門編」を一気に視聴。

坂本講師はゆっくりしゃべってくれていたので、だいたい1.2~1.5倍で再生していました。その後の特別研修の助けにもなりました。

特別研修後、理論編・実践編を視聴。それぞれ各1回しか見ていません。

1回の視聴でポイントは押さえられます。この試験はポイントをもれなくアウトプットできるかどうかが問われる試験なので、インプットに時間を取るのではなく、一度インプット作業をしたらさっさとアウトプット作業に移るのがよいです。

上記の通り、過去問とオリジナル問題が付いてきますが、あまり早い段階で手を付けると撃沈しやる気がなくなりますので、当日の2~3週間前から手を付け、3回ほど解きました。

伊藤塾 認定司法書士への道 [入門編]&[理論編]& [実践編]

概要・感想

言わずと知れた伊藤塾・道シリーズです。

基礎の基礎から用語解説、事例問題や過去問、司法書士法&司法書士行為規範までカバーする良書です。

↓ こちらから購入可能です。

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勉強方法・使用頻度

いずれの書籍も認定考査対策講座でのインプットと、その後のアウトプットのために受験勉強中毎日使用していました。

実践編はアウトプット中心ですが、入門編と理論編もインプットのみならず、アウトプットもできる作りになっているのは秀逸だと思います。

勉強中のインプットとアウトプットの比率はざっと3:7ぐらいだったと思います。

司法書士試験の学習もそうだったと思いますが、あちこちの本に浮気するのではなく、これと決めた同じ書籍を何度も繰り返しましょう。また前述のとおりこの試験はポイントをもれなくアウトプットできるかどうかが問われる試験なので、アウトプット中心で学習したほうがよいです。

認定考査対策講座と、「道」シリーズを使った勉強量は下記のとおりでした。

書籍名インプットアウトプット備考
入門編  
伊藤塾 
認定考査
対策講座   
各論の全事例を3~8回繰り返し解いた苦手な事例を多めにやりました。
(一番苦手だった類型が本番に出ました。)
理論編「第2部 各種の訴訟における要件事実」のうち、「入門編」に載っていない類型の設例を3~5回繰り返し解いた
実践編第1部は全問を4~6回繰り返し解いた
第2部・第3部は全問を4~5回繰り返し解いた
第2部・第3部は過去問がベースとなっているが
令和元年以降のものはないため認定考査対策講座の過去問でカバー
(3回ほど繰り返し解いた)

司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引 令和5年版

概要・感想

この本は特別研修でも必読図書とされており実際に研修でも活用しましたが、認定考査対策としても活用しました。

※下記にリンクを貼りましたが、確か特別研修申込時に購入すれば割引があったと思います。

この本で学ぶ業務規制、業務範囲」のパートは「勉強すればそのままアウトプットできる」ので、ある意味得点源として「コスパがよい」パートになります。(なお、文章問題は「論点を勘違いするとその後全部間違うおそれあり」という恐ろしさがあります。)

勉強方法・使用頻度

解説とQ&Aのパートがありますが、Q&Aのパート(業務を行い得ない事件Q&A、司法書士の簡裁代理権Q&A)だけを4回ほど繰り返しました。

参考資料:第3版ながめてわかる!司法書士特別研修認定考査対策と要件事実の基礎 別冊 司法書士認定考査過去問題・解答集〔第1回~第18回〕

この書籍は時間があれば、という感じで必須ではありません。

↓ こちらから購入可能です。

「道」掲載年度より前の過去問が掲載されていること、解説の中になるほど、と思わせる記載がごくたまにあることがメリットでしょうか。

ただ、あまりに昔の問題は出題傾向も現在と異なりますし、よく読むと疑義が生じるものもあるので(現在の試験問題は疑義をなくすため、本文や注書で正答に導くための記載が含まれていたりする)、まずは「道」に掲載されている年度以降の問題を解けるようになることが最優先だと思います。

学習・対策のコツ

事例問題(言い分形式)対策

 事例問題のコツは、正攻法ですが「要件事実」(一定の法律効果が発生するために必要な具体的事実)をしっかり意識しながら問題を解きまくることです。

 記述式試験なので、「要件事実」は類型ごとに正確に覚えておく必要があります。問題を解くことを通じて要件事実も頭に叩き込みます。

 本番では要件事実をベースに解答していきます。言及が不足しているのはもちろんNGですが、余計な言及があるのも減点となってしまうようです。

 事例は相続や時効、代理人が絡んでいることが多く、20年以上にわたる長期間かつ登場人物が多い、という特徴があります。時系列や登場人物の関係、要件事実の骨子をメモしながら解いていきますが、本番ではメモ用紙などの準備はありません。余白に簡潔に必要事項をメモできるよう、練習しておくのがよいでしょう。

 色ペンは持ち込み可能なので、例えば登場人物の言い分を色分けしてわかりやすくすることを意識しても良いと思います。

業務規制、業務範囲対策

 「認定司法書士への道(理論編・実践編)」、「司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引」の設問のパターンがそのまま出題されているのでとにかく上記の本を繰り返します。

 ただ、「できる」「できない」の結論だけでなく、「その理由」をあわせて把握しておかなければ解答としては不完全になってしまうので、「なぜそうなのか」を「記述式解答として正確に記載できるように」準備する必要があります。

特別研修と認定考査の関係

よく言われていることですが、特別研修はより実務的・実践的な形での学習であって、試験対策は別に取り組む必要があります。

ただ、そもそも特別研修を修了しないと認定考査を受けられないですし、結構な量の課題があります。何より実務には一番役立つ内容ですので、しっかり取り組みましょう。

※なお、特別研修の時に最も役に立った本は下記の書籍です。特別研修では「必読図書」と「参考図書」と位置付けられている本がありましたが、こちらは「参考図書」の位置づけでした。しかしこの書籍は研修の課題に取り組む際には「必須」で、なぜ必読になっていなかったのか疑問です。(ちなみに、認定考査対策としては全く使いませんでした。

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筆記対策(大量の文字を書く対策)

認定考査の解答例を見るとわかりますが、それなりの文字数を書く必要があり、書くことだけで疲れるし時間がかかりました。

※過去問の解説は伊藤塾Youtubeで見ることができます。概要欄に問題・解説があります。

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